俺様社長の溺愛~大人の恋を指南して~
その後は、詫びと、お礼を兼ねて朝食を作った。

朝食と言っても、トースト、ハムエッグ、サラダ、コーヒー。

と、ありふれた物だけど。

「…結愛のキッチンに立つ姿って、新鮮で、いいな」
「からかわないでください」

私は出来上がった料理をテーブルの上に置く。

「…付き合ってた頃は、たった一度、デートしただけで、こんなこと無かったから」

「…ですね。…さ、食べましょう」

重たい空気になる前に、気持ちを切り替える。

朝食を済ませると、皿洗いは、瑞樹がしてくれて、私はそれを片付けた。

帰り際、瑞樹が私に言う。

「明日、どっか遊びに行こう」
「え」

「今日は、目も腫れてるし、気持ちを少し落ち着かせて、気を取り直して、明日、どっか遊びに行こう。」
「でも」

「2日も家に閉じ籠ってたら、良からぬことばっかり考えそうだから、誰かさんが」

「…」

私の心を見透かしたように瑞樹が言うので、返す言葉も出ない。

瑞樹はフッと笑うと、私の頭をぐしゃぐしゃにした。

「何するんですか?」
「明日、9時に迎えに来るから、行きたいところちゃんと決めとけよ」

そう言うと、瑞樹は帰っていった。


…次の日の事を考えると、沈んだ気持ちが上がっていくのが自分でもわかった。
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