俺様社長の溺愛~大人の恋を指南して~
結局一睡も出来ないまま、朝を迎えた。

「…酷い顔」

目の下にはクマが出来て、目も充血している。

こんな顔でも、病気じゃないから、仕事は休めない。

一生懸命クマを隠して、いつもはコンタクトだけど、今日は眼鏡をかけて、出社した。

目の調子が悪いから、と、言い訳が出来た。

昼休みは、屋上で一人でこっそり食べることにして。

屋上はポカポカと良い陽気。

ほどよい風が気持ちいい。

…独りで食べるお弁当は、味気ない。

はぁーっと、大きなため息をつく。

と。

誰かに卵焼きを取られた。

驚いて上を向くと、私は開いた口が塞がらない。

「…大きな口だな」

その言葉にハッとして、口をつぐむ。

私の横に座ると、缶コーヒーを飲んだ。それは。

「社長…なんで」
「偶然だよ。外の風を吸いに来たら、結愛がいた」

私はオロオロしつつ、開いていたお弁当を片付けようとする。

でも、それは出来なくなった。

社長に、その手を止められたから。

「そんなに俺のこと嫌い?」

…そんなことあるわけない。むしろ、その逆だ。

「結愛、君の気持ちが知りたい」
「…私の気持ちなんて、聞く必要ないじゃないですか」


「…なぜ?」
「社長には、あんなに素敵な彼女がいるのに」
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