俺様社長の溺愛~大人の恋を指南して~
途中、廊下で、瑞樹とばったり会った。

「お疲れ様です」

私の言葉に、瑞樹は爽やかな笑みを浮かべた。

「お疲れ様。課長から、通達はあった?」

そう言いながら、私の持つ段ボールを取り上げると、企画部に向かって歩き出す。

「ありがとうございます。…驚きました。私なんて新人で、補佐役なんて勤まるのか、心配です」

そう言って、肩をすくめる。

「そんなに不安にならないで。君の異動は、企画部全員が賛成だったんだよ」
「え?そうなんですか?」

瑞樹の言葉に、驚きを隠せない。

「色んな事に気がつくし、やることも丁寧、それなのに、仕事は早い。今は補佐役だけど、ゆくゆくは、企画部に必要な人材になるんじゃないかって言ってるくらいだよ」

「そんな事…」

オロオロする私を見て、瑞樹は笑った。

「自信をもって、仕事してよ。俺の補佐役は大変だよ。これからよろしくな」

「はい!分からないことだらけですが、精一杯頑張ります」

そう言うと、お互い笑みを浮かべた。

…エレベーターが開くと、そこには社長が書類を持って立っていて、こちらを見て少しだけ、眉を動かした。

「お疲れ様です、社長」

会社では、ちゃんとそう呼ぶ瑞樹。

「お疲れ様…違う部署の二人が、一緒にいるなんておかしいな?」

社長は、何も知らされていない。

まぁ、無理もない。こんな小さな異動、取るに足らない。
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