俺様社長の溺愛~大人の恋を指南して~
…走り出した車から、降りられる訳もなく、次に車が停まったのは、レストランの駐車場。

高級フレンチレストランのようだ。

こんなリクルートスーツで、高級フレンチレストランに入るなんて。

入ることを躊躇っていると、社長は私を見下ろして一言。

「…また、お姫様抱っこされたいか?」
「…っ?!」

私は慌てて首をふる。

納得した社長は、私の手を取ると、ゆっくり歩き出す。

足を痛めた私への気遣いだろう。

口調とは正反対の態度に、ドギマギしてしまう。

「いらっしゃいませ、笠原様」
「いつもの席は空いてるかな?」

「えぇ、勿論です。ご案内致します」

…VIP席。

一部屋に、一テーブル。2つの椅子。

窓の外には夜景が見える。

「どうぞ、お連れ様」

椅子を引かれ、おずおずとそれに腰かけた。

初めての対応に、気が気じゃない。

そんな私を見て、社長はクスリと笑っていた。

でも、緊張でそんな事にも気づかない。

…まもなくして出されたスパークリングワイン。

「お酒はダメなんじゃ?」

社長は車を運転する。

「ノンアルコールだから、心配ない」
「あ、すみません」

私の反応に、社長はまたクスリと笑った。


「…お、おいしい~~!!」


間もなくして出された料理の美味しさに、思わずそう言ってしまった。
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