俺様社長の溺愛~大人の恋を指南して~
4.ワガママなんて言えなくて
その日は、勿論キス以上の事はなく、社長は仕事のため、私を家まで送り届けると、そのまま車に乗って行ってしまった。
淋しさ半分幸せな気持ち半分。
それを噛み締める一日。
でも、それは、その日だけだった。
社長は、その名の通り、笠原商事の社長だ。
そう簡単に会うことなんて、叶わないのだ。
気持ちが通じたからといって、いつも一緒なんて、無理なのだ。
だからと言って、無理もワガママも言えない。
「そんなに泣きそうな辛そうな顔をするくらいなら、言えばいいのに」
仕事の休憩中、屋上でお弁当を食べる私に喋りかけてきたのは、瑞樹だった。
「瑞樹さん」
瑞樹には、社長とのことなんて、何も言ってない。
「良樹が結愛をあんな連れ去りかたしたんだから、何かあってもおかしくない。…両思いになったんだろ?」
そう言った顔は、私なんかよりもずっと辛そうな顔をしている。
「社長である前に、一人の男だよ。結愛の彼氏だろ?ワガママの一つや二つ、言ったっていいんだよ」
その言葉に、首をふる。
瑞樹はため息をついた。
「…それに気づかない良樹も良樹だけど」
「社長のこと、悪く言わないでください。…社長は、その肩に、こんなに大きな会社を背負ってるんです。私の小さなワガママなんて、取るに足らない」
「…バカだな。それが、自分を苦しめるんだよ。そう言う愛し方なら、やめちまえ。結愛は幸せになんてなれない」
そう言うと、瑞樹は屋上から降りていった。
淋しさ半分幸せな気持ち半分。
それを噛み締める一日。
でも、それは、その日だけだった。
社長は、その名の通り、笠原商事の社長だ。
そう簡単に会うことなんて、叶わないのだ。
気持ちが通じたからといって、いつも一緒なんて、無理なのだ。
だからと言って、無理もワガママも言えない。
「そんなに泣きそうな辛そうな顔をするくらいなら、言えばいいのに」
仕事の休憩中、屋上でお弁当を食べる私に喋りかけてきたのは、瑞樹だった。
「瑞樹さん」
瑞樹には、社長とのことなんて、何も言ってない。
「良樹が結愛をあんな連れ去りかたしたんだから、何かあってもおかしくない。…両思いになったんだろ?」
そう言った顔は、私なんかよりもずっと辛そうな顔をしている。
「社長である前に、一人の男だよ。結愛の彼氏だろ?ワガママの一つや二つ、言ったっていいんだよ」
その言葉に、首をふる。
瑞樹はため息をついた。
「…それに気づかない良樹も良樹だけど」
「社長のこと、悪く言わないでください。…社長は、その肩に、こんなに大きな会社を背負ってるんです。私の小さなワガママなんて、取るに足らない」
「…バカだな。それが、自分を苦しめるんだよ。そう言う愛し方なら、やめちまえ。結愛は幸せになんてなれない」
そう言うと、瑞樹は屋上から降りていった。