俺様社長の溺愛~大人の恋を指南して~
企画部最後の日、引き継ぎを済ませた私は、段ボールを抱え、最上階に向かった。ドアをノックして開けると、そこは秘書室。

その奥にもう一つドアがある。そこが社長室。

社長秘書は、ずいぶん前から空席だったそうだ。

だから、スケジュール管理も、電話対応も全て、社長がこなしていた。

仕事が少しでも楽になるなら、秘書は絶対必要。

それなのに、どうして空席のままにしていたのか?

段ボールを秘書のデスクの上に置くと、社長室のドアをノックした。

「有坂です」
「…どうぞ」

初めて入る社長室にドキドキしながら、ドアを開けると、大きな窓から外を眺める社長の後ろ姿が目に写った。

「社長…どうして私を社長専属秘書にしたんですか?」

「どうしてか、当ててみるといい」

振り向くこと無く社長が言う。

私は社長に近づきながら、もう一つ問いかけた。

「社長専属秘書は、ずっと空席のままだとお伺いしました。それなのに、突然、未経験の私なんかでは、勤まる気がしません」




すると、




「結愛がワガママ言わないから、俺が代わりに、ワガママを言っただけだよ」




…え。
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