俺様社長の溺愛~大人の恋を指南して~
「ちょ、ちょっと待ってください、社長。職権乱用もいいところじゃないですか?私は嬉しくないです!企画部の仕事がとても楽しかったのに。」

これが、私の本音だ。

社長の事は好きだし、一緒にいたいと思う。

でも、仕事は別だ。企画部に異動になったのも、瑞樹の職権乱用な気がするが、実際、企画部は大変で私の異動は正しかったと思う。

でも、今回ばかりは、ただの自分勝手だ。

ワガママなんて、可愛い言葉で済ませていい問題じゃない。


「…そういうと思ったよ」
「…へ?」

社長の言葉にキョトンとする。

「そう言いたいところだけど、『有坂さん』が、さっき言ってた通り、長いこと、秘書の席が空席で、一人で全てこなしていたんだけど、やっぱり限界を感じていてね。いい秘書をずっと探していたんだ。そんなとき、総務のオフィスを通りかかった俺が見つけたのが、有坂さんだった。」

…私と出会う前。

「俺が異動願を、有坂さんに言い渡す前に、企画部に異動になるのは予想外だった。企画部の部長も、なかなか有坂さんを手放してくれなくて、やっとの思いで秘書の席に異動させられた」

そう言って、社長はニコッと笑った。
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