俺様社長の溺愛~大人の恋を指南して~
秘書について数週間。

やっと、業務を把握してきた頃、残業届けを出していた私は、黙々と作業をこなしていた。

…これを全て一人でこなしていた社長は本当にすごい人だと思わずにいられない。

…やっと、仕事が終わったのは、午後10時を回っていた。

社長は会食のため、ホテルのレストランへ行っていて、そのまま帰宅予定。

私は、デスクの上を片付けるとどっと疲れが出た。ほんの数分、目を閉じたら、帰宅しよう。

疲れすぎて、帰れそうにない。

帰りは、タクシーでも捕まえよう。

そんな事を思いながら、目を閉じた。

…。

フワフワと、体が中に浮いている感じがする。

うっすらと目を開けると、スーツ姿の男の人?が見えた。

…少しずつ、頭が冴えてくる。

パチッと目を開けた。

霞んでいた視界が一気に鮮明になる。

「社長!これは?下ろしてください」

アワアワしながら、なんとか言葉を紡ぎ出す。

「もう、駐車場で、俺の車の前。遅くまで一人で仕事してくれてたんだろ?管理人室から、秘書がまだ帰らないのですがと、わざわざ連絡が来てね。時間見て驚いたよ。結愛はとにかく頑張りすぎ。送るから、帰ろう」

「で、でも」

「電車やバス、タクシーなんかで帰せないよ?そんな疲れた顔してるのに」

…申し訳なさ一杯になりつつも、送ってもらうことに。

…あれ、ここは。
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