俺様社長の溺愛~大人の恋を指南して~
…暗雲が立ち込める。とは、まさしくこの事かもしれない。

パーティーが終わり、車の中、社長は不機嫌な顔で外の流れる景色を見つめている。

いつもなら、私の方しか見ないって位、私の相手をしてくれるのに。

西園寺悠翔は、初対面だし、話が楽しかったとは言え、ちゃんと警戒していた。

でも、あそこで手を捕まれたのは、不可抗力。

100%向こうに非があるとは言えないが、私は悪いとは思えない。

…暗雲のなかから、一筋の光があるとすれば。

不機嫌な顔で外の流れる景色を見つめている社長の手は、私の手をしっかりと掴んでいる。

しかも、恋人繋ぎで。

私はその手を見つめたまま、そっと社長の手を握りしめた。

すると。

困ったような顔をした社長が、こちらを見た。

「ずっと怒っていられないのは、惚れた弱味だな」

それだけ言うと、私の手を引っ張り寄せ、私の肩を抱いた。
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