俺様社長の溺愛~大人の恋を指南して~
6.俺様社長の溺愛は
その名前を聞き、瑞樹は驚きの眼差しで、悠翔を見る。

悠翔は両手をあげ、降参と言うポーズを取りつつ、こう言った。

「今回は大人しく引き下がります」

そして、悠翔は何事もなかったように、近くに停められた車に乗り込むと、走り去ってしまった。

その場に取り残された私と瑞樹はしばし放心状態。

でもすぐに、瑞樹は我に返って私の無事を確認する。

「本当に大丈夫なのか?どこも、なんともないな?」
「はい、大丈夫です。瑞樹さんが来てくれたから、なんともありません。ありがとうございました」

そう言って、ため息をつくと、急に安心して、身体中の力が抜けた。

その場に座り込みそうになった私を、瑞樹がしっかり受け止めた。

「とにかく社に戻ろう。良樹にも、知らせないと」
「ダメ!ダメです、言わないで」

私の懇願に、瑞樹は困惑する。

「良樹さんに迷惑はかけられない」
「これは迷惑なんかじゃない。良樹は、結愛の彼氏だろ?一緒に住むほど、大事な相手だろ?守りたい。こんな大事なこと、黙ってるなんて、俺には」

「瑞樹さんお願いします。これだけは」


しばらく考えた瑞樹は深いため息をつくと。

「分かった。今回だけは、言わないよ」
「ありがとうございます、瑞樹さん」

「でも、これだけは守って。次に似たようなことがあったら直ぐに言うこと。連絡取れる状態じゃないなら、知らない人でもいいから助けを求めること。一番は良樹の傍を離れないこと。やむを得ず離れるときは、俺に言うこと。守ってやるから。いいね?」

念を押され、私は深く頷いた。
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