俺様社長の溺愛～大人の恋を指南して～
それほどまでに、優子という人が大事な存在だったんだと、胸が苦しくなるほど痛感した。

「優子さんは…どうして何も話さなかったんでしょうか？」

「俺には、優子の気持ちはわからないよ。いつも笑って、苦しいところなんて、見たことはなかった。俺の目の前で倒れて初めて、彼女の苦痛の顔を見た。この世からいなくなる瞬間も、彼女は俺に、笑みを浮かべてそのまま永遠の眠りについた」

「優子さんは…社長を心底愛していたんですね」

「…え？」

私の言葉に、驚いた顔をした社長。

私は、困ったような笑みを浮かべると、話を続けた。

「きっと彼女は、自分に残された時間を知っていた。でも、話せば、社長が自分から離れていってしまうんじゃないかと、怖くて話せなかった。限られた時間を、一番愛した貴方と、過ごすことを選んだ」

「…そうだろうか？」

「私は、優子さんじゃないから、本当の事はわかりません。でも、社長に笑顔しかみせなかったのは、自分がいなくなっても、社長の心に、自分の一番良い顔を思い出してほしかったから。幸せだったと思ってほしかったからじゃないかと思います。私も社長が好きだから」

「…結愛」

私の名を呼んだ社長は、私をぎゅっと抱き締めた。

私も答えるように、抱き締め返した。
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