俺様社長の溺愛~大人の恋を指南して~
信号が赤に変わり、車を止めた。

「…何をそんなに必死に探し回ってるんだ俺は」

そうだ。別に、あんな女一人どうなったっていい。

そう思うのに、何故か、探さずにはいられなかった。

結愛の顔が浮かんでは消えていく。悲しそうな辛そうな顔ばかり。

…結愛は、今回の事に、なんの関係もない。被害者だ。

傷つけていい相手じゃない。

西園寺が陥れたいのは、良樹だけなのだ。

自己嫌悪になりながら、西園寺はただひたすらに、結愛を探し回った。

…。

途中、結愛とすれ違ったが、西園寺は見落としてしまった。

…結愛は、途方にくれながら、どしゃ降りの中、傘も持たずに、ボストンバッグを抱えて、歩いていた。

そんな結愛を見つけたのは。
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