皇帝陛下の花嫁公募
 手を離した途端、矢が的の中央に突き刺さる。馬鹿にしていたような笑い声は止まり、感嘆の声に変わった。

 リゼットは次々に矢を放ち、すべてそれは的の中央に当たった。

 ふーっと息を吐き、女官のほうを向く。

「どうかしら」

「あ……ありがとうございました!」

 彼女は深々と頭を下げ、周囲から拍手が湧き起こる。主に衛兵から賞賛されているようで、リゼットは彼らに手を振って答えた。
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