皇帝陛下の花嫁公募
 何度考えても、仕方ないという結論しか出ないのだ。

 やはり彼と関わりを持ってはいけなかったのかもしれない。そもそも、最初からここに来るのを許してはいけなかったのだ。会えば会うほど、気持ちが強くなってくる。こんなふうになるなんて、想像もしていなかった。

 リゼットは立ち上がって、ガウンを上に着込んだ。

 そのとき窓をコツコツと叩く音が聞こえてきた。リゼットは窓に近づき、カーテンを開け放って、窓をそっと開いた。

 アロイスがするりと中に入ってくる。

「リゼット……」

 いつもなら、彼はここに入ってくるなり、大きな笑みを浮かべるのに、今夜は違う。真面目な表情をしていた。

 彼は意外と情報通だから、花嫁の最終候補が決まったことを知っているのかもしれない。

「アロイス、話があるの」

 リゼットがそう言うと、彼は頷き、いつものように長椅子に並んで座った。

「さあ、君の話を聞こうか」

「あの……花嫁の最終候補に選ばれて、明日、皇帝陛下とお会いすることが決まったの」

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