皇帝陛下の花嫁公募
 今まで自分でも気づかなかったが、彼を愛し始めていたのだろうか。けれども、それは許されないことだ。

 まして、彼に告白してはいけない。余計に期待をさせてしまうことになる。

 だが、彼の目が情熱と喜びに満ち溢れているのを見たら、何も言えなくなっていた。

「リゼット……結婚してくれ」

 結婚……。

 リゼットの痺れたような頭にその言葉が忍び込んできた。

 一瞬のうちに、彼と結婚して、子供達が周りにいることを想像した。楽しく温かい家庭を。

「約束する。必ず幸せにするから」

 アロイスはリゼットの身体を抱き寄せた。

 顔が近づいたときに思わず目を閉じてしまう。唇が柔らかいものに包まれて、胸の鼓動が高鳴った。

 これが……キス……!
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