皇帝陛下の花嫁公募
いつもなら、ネスケルもここで引っ込むところだが、今日は違う。決然とした表情で口を開いた。
「もう一度、申し上げます。陛下は結婚なさるべきです」
「私ももう一度言う。そんな暇はない」
「陛下はもうすぐ三十歳になろうとしています。それなのに、未だ跡継ぎもいない。……いえ、ゲオルク様がいらっしゃいますが……」
アンドレアスは顔をしかめた。ゲオルクは従兄弟だが、アンドレアスが嫌いな甘やかされた貴族そのものだった。軟弱すぎて、戦場では使い物にもならない。兵士を残して、一人で逃げ帰るような男なのだ。
もちろん政治的手腕は言うに及ばず……。
「あいつは私の跡継ぎではない」
「ですが、もし陛下の御身に何かあれば……ゲオルグ様が即位されることでしょう。あの方が皇帝になったら、帝国はおしまいです」
確かにそうだ。もちろん自分に何かあるなどということはまったく考えていない。だが、彼の言うとおり、自分は不死身ではないのだ。
「もう一度、申し上げます。陛下は結婚なさるべきです」
「私ももう一度言う。そんな暇はない」
「陛下はもうすぐ三十歳になろうとしています。それなのに、未だ跡継ぎもいない。……いえ、ゲオルク様がいらっしゃいますが……」
アンドレアスは顔をしかめた。ゲオルクは従兄弟だが、アンドレアスが嫌いな甘やかされた貴族そのものだった。軟弱すぎて、戦場では使い物にもならない。兵士を残して、一人で逃げ帰るような男なのだ。
もちろん政治的手腕は言うに及ばず……。
「あいつは私の跡継ぎではない」
「ですが、もし陛下の御身に何かあれば……ゲオルグ様が即位されることでしょう。あの方が皇帝になったら、帝国はおしまいです」
確かにそうだ。もちろん自分に何かあるなどということはまったく考えていない。だが、彼の言うとおり、自分は不死身ではないのだ。