皇帝陛下の花嫁公募
リゼットによく似合う薄いピンク色のドレスで、絹の生地がふんわりと繊細なレースで覆われて二重になっている。一見して豪華なドレスだ。祖父も金銭的に苦しいのだが、リゼットが皇帝でなくともどこかの裕福な有力者に見初められれば、自分のところにも運が回ってくると思っているのだろう。
国を背負うだけでも大変なのだが、祖父の期待もなかなか重い。
もしかしたら、皇妃になりそこなってもアマーナリアに帰してもらえないかもしれない。ぞっとする話だが、祖父はリゼットの結婚を利用したいと考えているようだった。
ナディアが張り切って美しい髪形にすると、母妃がやってきて、自分の髪飾りを貸してくれた。
「本当に素敵よ、リゼット」
「姫様、もう今すぐ皇妃様になってもおかしくないくらいです!」
ナディアと二人がかりで褒め称えてくれたが、リゼットは弱々しく微笑むことしかできなかった。もっとも、その理由を、二人はリゼットが緊張しているせいだと思っているようだったが。
ともかく、どんなに気分が乗らなくても、皇帝の前に出なくてはならない。選ばれるかどうかはまた別の話だ。もし選ばれなかったら、アマーナリアへの援助を懇願してみよう。やるだけやってダメなら仕方ない。
恋する乙女の気持ちを押し込めて、なんとか王女として振る舞うことを自分に誓う。
もう、アロイスとのことは終わったんだし……。
わたしはアマーナリアの王女として生まれて育ったから。
アマーナリアのために生きなければならないのよ。
国を背負うだけでも大変なのだが、祖父の期待もなかなか重い。
もしかしたら、皇妃になりそこなってもアマーナリアに帰してもらえないかもしれない。ぞっとする話だが、祖父はリゼットの結婚を利用したいと考えているようだった。
ナディアが張り切って美しい髪形にすると、母妃がやってきて、自分の髪飾りを貸してくれた。
「本当に素敵よ、リゼット」
「姫様、もう今すぐ皇妃様になってもおかしくないくらいです!」
ナディアと二人がかりで褒め称えてくれたが、リゼットは弱々しく微笑むことしかできなかった。もっとも、その理由を、二人はリゼットが緊張しているせいだと思っているようだったが。
ともかく、どんなに気分が乗らなくても、皇帝の前に出なくてはならない。選ばれるかどうかはまた別の話だ。もし選ばれなかったら、アマーナリアへの援助を懇願してみよう。やるだけやってダメなら仕方ない。
恋する乙女の気持ちを押し込めて、なんとか王女として振る舞うことを自分に誓う。
もう、アロイスとのことは終わったんだし……。
わたしはアマーナリアの王女として生まれて育ったから。
アマーナリアのために生きなければならないのよ。