皇帝陛下の花嫁公募
ネスケルに急かされて、すぐ傍にいたリゼットを花嫁だと言ったような気がしてならない。だとしたら、今頃、後悔しているかもしれない。
でも、どうせ誰と結婚しても同じだと思っているかも……?
『アロイス』のことは判っているつもりだったが、アンドレアスのことは判らない。彼がどういう人物なのか、もう掴めなかった。
わたしが愛した人はもういないんじゃないかしら。
そう思うと、なんだか悲しくなってくる。亡くなったわけではないが、元からいなかったなんて……。
そのとき、窓がコツコツと叩かれた。
リゼットはすぐさま起き上がって、ガウンを羽織る。そして、急いでカーテンを開いた。
アロイス……!
いや、アンドレアスだ。けれども、アロイスの格好をしている。
胸の奥に小さな喜びが込み上げてきた。二人は同一人物だが、金色の房飾りがついている軍服ではなく素朴な町人の格好をした彼のほうが、リゼットが恋した相手だった。
でも、どうせ誰と結婚しても同じだと思っているかも……?
『アロイス』のことは判っているつもりだったが、アンドレアスのことは判らない。彼がどういう人物なのか、もう掴めなかった。
わたしが愛した人はもういないんじゃないかしら。
そう思うと、なんだか悲しくなってくる。亡くなったわけではないが、元からいなかったなんて……。
そのとき、窓がコツコツと叩かれた。
リゼットはすぐさま起き上がって、ガウンを羽織る。そして、急いでカーテンを開いた。
アロイス……!
いや、アンドレアスだ。けれども、アロイスの格好をしている。
胸の奥に小さな喜びが込み上げてきた。二人は同一人物だが、金色の房飾りがついている軍服ではなく素朴な町人の格好をした彼のほうが、リゼットが恋した相手だった。