皇帝陛下の花嫁公募
 いよいよ出立の日が来た。

 結婚式に出席するため、父王と母妃も一緒だ。そのため、馬車の周りを馬に乗って護衛する人数は以前より多い。護衛が多い分、馬車も目立つ立派なもので、国王と名乗っても、屈辱的な扱いをされることはなかった。

 というより、アマーナリアが以前より名前が知られるようになっていたからかもしれない。

 つまり、新しい皇妃の出身地として。

 リゼットはアマーナリアの役に立ててよかったと思う。ある程度の援助金が入った後、これからどう発展させるかについては、父王とエーリクの手に委ねるが、土台はなんとか築けたような気がしている。

 幾日か旅を続け、ようやく再び帝都に着いた。

 もちろん祖父の家に向かったのだが、以前と違って、ずいぶん立派になっていたことに驚いた。

 宮殿から派遣されたという衛兵も門の前に立っている。

「どうしたの? 一体……?」

 到着するなり祖父に尋ねると、彼は上機嫌で答えてくれた。
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