皇帝陛下の花嫁公募
 アンドレアスは机をバンと叩いた。ネスケルはその音にビクッと飛び上がる。

「丈夫な跡継ぎが欲しいのだろう? それには、何人も子を産む丈夫な花嫁が必要だ」

「……承知しました」

 ネスケルは頭を振りながら、よろよろと執務室を出ていった。

 よし。これでいい。もちろん花嫁探しなんかに時間をとられたくはないのだが、帝都が賑わうのなら、商売人は喜ぶことだろう。

 そして、税収も増やせるというわけだ。

 一挙両得。

 これでよし。

 アンドレアスはペンを手に取り、机の上にあった書類の束に目を通し始めた。これをさっさと終わらせて、午後は身体を動かしたい。

 跡継ぎか……。

 花嫁の顔さえもまだ判らないが、自分に小さな息子がいるのを思い描いてみるのは悪くなかった。

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