皇帝陛下の花嫁公募
 リゼットは長椅子にドレスを広げるようにして腰かけた。父王はその隣の肘掛け椅子に座り、リゼットを鋭い目で見つめてくる。

 そんなふうに見られると、好き勝手している自分が申し訳なくなってくる。義務を果たしていない。そう思われるのも無理はなかった。

 リゼットは覚悟して尋ねた。

「それで……なんのご用なの?」

「実は……皇帝が花嫁を公募しているのだ」

「えっ、嘘でしょ!」

 リゼットは自分の耳を疑った。

 皇帝がそんな馬鹿な真似をすることなどあるのだろうか。信じられない。

 父王は手にしていた書状をリゼットに渡した。

「今日これが届いたのだ。間違いない」

 見ると、確かにそう書いてある。花嫁を公募すると。

「身分を問わず、十六歳から二十二歳までの未婚の健康な娘であることが条件……?」

 公募するだけでも驚きだが、身分を問わないなんて……!
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