皇帝陛下の花嫁公募
アンドレアスはナディアが倒れたとき、もしこれがリゼットであったらと考えた。今もそんなことを想像すると、恐ろしくてならない。不謹慎ではあるが、リゼットでなくてよかったと思ってしまったくらいだ。
もし、リゼットとその側近達が、公爵夫人が権力を持ちすぎていることに気づいて警戒していなかったら、リゼットも自分も確実にあのワインを飲んでいた。恐らくナディアよりも多く摂取してしまったことだろう。
今頃、皇帝と皇妃の死を悼む鐘が鳴らされていたところだ。
もちろん状況的にゲオルグが一番怪しい。しかし、ゲオルグが一番に怪しまれる立場だからこそ、あの場で毒殺を企んだはずがないのだ。彼に訊いたところ、給仕していた男に『特別にいいワインだ』と渡されたのだそうだ。
つまり、自分達の席に持ってきて、グラスに注いだのはただの思いつきなのだと。
それを信じれば、狙われていたのはゲオルグということになる。ゲオルグは酒好きだ。あの時点でずいぶん飲んでいたのだ。特別にいいワインだと聞いたら、普通であれば自分で飲もうとするだろう。
問題は、彼が狙われる理由だ。
もし、リゼットとその側近達が、公爵夫人が権力を持ちすぎていることに気づいて警戒していなかったら、リゼットも自分も確実にあのワインを飲んでいた。恐らくナディアよりも多く摂取してしまったことだろう。
今頃、皇帝と皇妃の死を悼む鐘が鳴らされていたところだ。
もちろん状況的にゲオルグが一番怪しい。しかし、ゲオルグが一番に怪しまれる立場だからこそ、あの場で毒殺を企んだはずがないのだ。彼に訊いたところ、給仕していた男に『特別にいいワインだ』と渡されたのだそうだ。
つまり、自分達の席に持ってきて、グラスに注いだのはただの思いつきなのだと。
それを信じれば、狙われていたのはゲオルグということになる。ゲオルグは酒好きだ。あの時点でずいぶん飲んでいたのだ。特別にいいワインだと聞いたら、普通であれば自分で飲もうとするだろう。
問題は、彼が狙われる理由だ。