皇帝陛下の花嫁公募

　リゼット達は公爵夫人とゲオルグを敵視していたが、ゲオルグは怠け者で嫌な奴で、おまけに人を羨んだりする嫉妬深いが、自分からそういったことに手を染める男ではない。

　そもそも、あいつは皇帝になりたいなんて思ってないんだ！

　ただ好きなだけ遊んで飲んで、女と遊びたいだけだ。義務だとか、政治だとかとんでもないと思っている。一方、権力が欲しくて、しかも策略が好きで、ゲオルグを皇帝にしたがっているのは公爵夫人だ。

　だが、もちろん彼女は息子を殺したりはしないし、まして犯人にされそうな策は練らないだろう。

　アンドレアスは執務室に入った。そこには、ネスケルが難しい顔で長椅子に座っていたが、慌てて立ち上がる。

「いや、そのままでいい」

　アンドレアスは彼と向かい合わせの椅子に腰かけた。