皇帝陛下の花嫁公募
「なんて聡明な方でしょう。それに、いい側近を持っているということは、人の上に立つ資格のある方だということです。おかげで、陛下も妃殿下も毒殺を免れたわけです」

「彼らには勲章でも授けたいところだ。特に毒かもしれないと思いつつワインを口に含んだナディアには、何かしてやりたい」

「まずはスパイを捕まえなくては」

「そうだ。ゲオルグが犯人扱いされたことで、公爵夫人は激怒している。恐らくスパイが接触して、彼女に嘘を吹き込んだことだろう。あいつの部屋に毒の瓶を置いておいたのも皇帝で、すべて皇帝の仕掛けた罠だと。あいつに罪を着せて追放するつもりだと」

「それで、昨夜、公爵夫人の部屋を探らせていたのですね」

「そうだ」

 しかし、特に不審な人物も出入りしていなかったという。

「女官か、女官が連絡役なのだろう。まずは公爵夫人付きの女官を徹底的に調べる」

「妃殿下のように宮殿を脱出すれば安心ですが、陛下もいつ何時、攻撃を受けるか判らないのです。気をつけていただかなくては」

「ああ、そうだな。そうでなくては、リセットに恨まれる」
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