皇帝陛下の花嫁公募
もしかしたら、リゼットの安全を考え、宮殿から追い出したのかもしれない。ナディアが倒れたのを見ていたのだから、そんな気にならないとは限らない。
だって、もしわたしがアンドレアスなら、同じことをすると思うから。
だが、リゼットは遠ざけられるわけにはいかなかった。彼がどう思おうと、リゼットだって彼を助けたい。
荷物を解いてしまうと、リゼットはここを拠点に置いて、アンドレアスを助けるために活動するという決意を新たにした。
そして、早速、作戦を練ろうとテオを部屋に呼び出したのだが、ナディアもついてきた。
「リゼット様、わたしも仲間外れにするのはやめてくださいよ。もう身体は回復したんですから、寝てなきゃダメというのもね」
口で言うほど元気じゃないのは判っていたが、仲間外れはやはり納得できないだろう。この三人は子供の頃からずっと友達だし、リゼットが結婚してから四面楚歌だった宮殿生活で、かなり絆を深めたのだ。
三人はテーブルを囲んで椅子や長椅子に座った。
「作戦会議にはいてもいいけど、これが済んだら寝てるのよ」
ナディアは思わず舌打ちをして、はっと我に返る。
「すみません。下品な真似をしてしまいまして」
「いいのよ。わたし、大概のことでは驚かないわ。あなたが倒れたときに近衛兵の一人が飛んできたことを思えば……」
「リゼット様! それはここではどうでもいい話ですから!」
ナディアは強い口調で言ったが、顔は真っ赤になっていた。