皇帝陛下の花嫁公募
「しかし、それがゲオルグという男なんだ。で、あいつは慰労会で酒が飲めると聞いて、紛れ込んで飲んでいた。いい感じに酔っ払ったところで、給仕の男が近寄り、ワインを持ってきて勧めたんだ」
「例のワインね!」
「ゲオルグはそれを自分用に注いだ後、何を思ったのかふらふらと立ち上がって、皇帝と皇妃の許へと向かった、と」
リディアは首をかしげた。なんだか頭が混乱してくる。
「ちょっと待って。その給仕の男が毒を仕込んだ犯人なら、ゲオルグが狙いってことになるわ」
「そういうことになる。ちなみに、俺が話を聞いたその人は同じ話を皇帝の部下にして、一緒に給仕の男を探したらしいんだが、どこにも見つからなかった。だから、変装して紛れ込んでいたことも考えられる。つまり……その男は単にゲオルグに恨みがあるとかではなく、訓練された工作員なのかもしれない」
「工作員! そんな人がどうしてゲオルグを……?」
「判らないな。あいつは殺されるような重要人物ではないから」
三人は押し黙って、それぞれ考えを巡らせる。
ナディアがふと思いついたように口を開いた。
「公爵夫人はどうなんでしょうね。息子を皇帝にしたいとは思ってないのかしら」