皇帝陛下の花嫁公募
 それからというもの、リゼットは帝都へ行く準備に追われた。

 新しいドレスを何着も作ってもらい、装身具も準備した。帝都へ向かうのはリゼットの他に、母妃とナディア、その他の女官数名と護衛数名のみだった。残念ながらテオは今回一緒ではない。そして、父王はよほどの理由がない限り、国を離れられないし、遊びに行くのではないから弟妹達は連れていけなかった。

 帝都での宿泊地は母妃の実家だった。母妃も持参金つきでアマーナリアに嫁ぎ、母妃の父親、つまりリゼットの祖父は娘が王妃となったことを、大いに満足していたらしい。

 もっとも、今現在、祖父の商売はあまり上手くいっていないので、アマーナリアに渡した持参金を惜しがっているかもしれない。そんなわけで、もしリゼットが皇妃になったら、商売も上向くに違いないと信じていて、リゼット達の一行を快く受け入れてくれるようだった。

 リゼットは今まで農作業を手伝っていた畑の持ち主のところへ行って、しばらく来られないと告げた。

 テオと一緒にいつも無償で手伝いをしていたから、彼らにはどこかいいところの子供だと思われているようだった。まさか王女だとは思いもしなかっただろうが、お礼代わりにいつも何かしら食べ物をくれて、可愛がってもらっていた。

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