皇帝陛下の花嫁公募
歓迎の晩餐会は夜に行われる。これは正式なものなので、子供達は出席できない。エアハルトとシャルロッテはそれを知っているので、少し不満そうにしている。二人ともエーリクとフローラが好きだからだ。
新婚の二人が部屋へと案内されていき、エアハルトはアンドレアスの手を引っ張った。
「ねえ、お父さま。ボク、アレが上手にできるようになったんだ」
「そうか。すごいな!」
「がんばったんだよ! 見にきてよ」
リゼットにはその『アレ』がなんなのか判らない。男二人だけで通じる会話なんてちょっと許せない。リゼットは抱っこをせがむシャルロッテを抱き上げながら尋ねた。
「なんの話をしているの?」
エアハルトが肩をすくめる。
「女にはカンケーない話さ」
エアハルトみたいな小さな子供が言うと、生意気というよりは可愛らしく聞こえる。
「いや、そうでもないぞ。その辺の男より上手な女性もいる。特にお母様はすごいぞ」
「ホントに? お母さまが?」