皇帝陛下の花嫁公募

 けれども、全員が互いをとても愛し合っている。エアハルトとシャルロッテは時々、喧嘩もするけれど、とても仲がいい。

 わたしとアンドレアスも……。

 彼の瞳が柔らかく微笑みかけてくる。きっと考えていることは同じなのだ。

 昔――彼は言った。

 温かく穏やかな家庭が欲しいと。

 子供は乳母に任せきりにはしたくないと。

 ねえ。望んだとおりでしょう?

「私は君を花嫁に選んで、本当に幸せになれた。感謝しているよ」

「わたしも……。選んでもらえてよかった!」

 そうでなかったら、こんな幸せには絶対なれなかった。

 リゼットはアンドレアスと微笑みを交わし、素早くキスも交わした。

 これからの皇帝も花嫁を公募すべきなのかもしれない。

 リゼットはひそかにそう思った。
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