皇帝陛下の花嫁公募
 もちろん、よその国の王子ならいいが、王子だってなんの持参金もない王女など娶らないものだ。向こうにしてみれば、政治的にもまったく利点が感じられるはずがない。

 歴代の王女は、よその国のそこそこの金持ちの家に嫁いだものだった。向こうは王女を花嫁にしたと自慢になる。その見返りに、国は金持ちから援助をもらう。

 とはいえ、少しばかり援助してもらったとしても、焼け石に水なのだが。

 それでもリゼットはできるだけ裕福な男性に嫁がねばならないのだろう。

 だから、容姿に気を使い、礼儀作法を勉強し、たくさん知識も蓄えた。今、鏡に映っている自分の姿は、リゼットの基準ではなかなかのものだった。

 すらりとした体形、金色の長い髪、キラキラと光る宝石のような緑の瞳、健康そうな薔薇色の頬、可愛い唇。

 鼻が少し低く、童顔なので、完璧な美人とは言えないが、悪くはないと思う。

 
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