皇帝陛下の花嫁公募
 花嫁募集の期限の日はもうすぐだ。それから審査があるらしく、結果が出るまで、リゼット一行は祖父の屋敷に逗留する予定だった。

 リゼットに用意された部屋は、屋敷の中で一番の上客が泊まる部屋で、アマーナリアでの自分の部屋よりずっと豪華だった。没落したとはいえ、さすがに帝都で大儲けしたかつての大商人の屋敷はすごいものだった。

 母妃は元の自分の部屋に泊まるそうで、あまりに申し訳なくて部屋を代わろうかと提案した。だが、彼女は娘時代に戻ったような気がして嬉しかったらしく、そのままということになった。

 高価な調度品に囲まれて眠るのは、少し落ち着かなくて……。

 それでも、旅の疲れもあってすぐに眠りについた。
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