皇帝陛下の花嫁公募
 そこには、上品な身なりの女性が立っていて、リゼット達を迎えてくれた。

「ようこそいらっしゃいました。花嫁募集の受付はこちらでございます」

 その優しい言い方に、リゼットは少しほっとする。宮殿から受ける威圧感に恐れおののいていたが、中にはこんな優しい女官もいるのだ。

 女官に案内された部屋は大広間になっていて、中には椅子がたくさん置かれていて、その椅子に多くの女性達が座っていた。

 花嫁になりたい娘達とその母親や付き添いの女性達だ。リゼットについてきた母妃と女官は入室を許され、護衛は足止めされて別の部屋に案内された。

 花嫁の条件は身分に関係ないはずだったが、そこにいた娘達は明らかに裕福な身なりをしていて、上品そうだった。貴族ではないにしても、とにかくきちんと教育を受けた家庭に育っているように見えた。

 でも……よく考えてみればそうよね。

 
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