皇帝陛下の花嫁公募
「名前は?」
「え……と、ミーゼンです」
「ほう。……ミーゼンか」
彼はリゼットの顔を覗き込み、また微笑んだ。
「あ、あなたのお名前は?」
「俺は……アロイス」
「アロイス……」
リゼットはその名前をしっかりと胸に刻みつける。
自分の胸をこんなにドキドキさせた初めての男性の名だ。これから自分が誰の花嫁になるのかまだ判らないが、しっかりと覚えておきたい。
「市場に何を買いにきたんだ?」
「何って……見学に来ただけなんです。帝都に来たのは初めてで、市場ってどんなところかなって」
「そうか。……あそこにおいしそうな林檎があるぞ。買ってやろう」
「えっ、いいえ、そんな……」
「子供が遠慮なんかするな」
そということは、彼はリゼットを少年だと信じているのだろう。だとしたら、女だとは気づかれていないらしい。
リゼットはほっとして、彼に林檎を買ってもらった。
「ありがとうございます」
この格好で農作業に出て、いろんな食べ物をもらう機会があったが、買ってもらったのは初めてだ。
しかも、こんな格好いい男の人に!
「え……と、ミーゼンです」
「ほう。……ミーゼンか」
彼はリゼットの顔を覗き込み、また微笑んだ。
「あ、あなたのお名前は?」
「俺は……アロイス」
「アロイス……」
リゼットはその名前をしっかりと胸に刻みつける。
自分の胸をこんなにドキドキさせた初めての男性の名だ。これから自分が誰の花嫁になるのかまだ判らないが、しっかりと覚えておきたい。
「市場に何を買いにきたんだ?」
「何って……見学に来ただけなんです。帝都に来たのは初めてで、市場ってどんなところかなって」
「そうか。……あそこにおいしそうな林檎があるぞ。買ってやろう」
「えっ、いいえ、そんな……」
「子供が遠慮なんかするな」
そということは、彼はリゼットを少年だと信じているのだろう。だとしたら、女だとは気づかれていないらしい。
リゼットはほっとして、彼に林檎を買ってもらった。
「ありがとうございます」
この格好で農作業に出て、いろんな食べ物をもらう機会があったが、買ってもらったのは初めてだ。
しかも、こんな格好いい男の人に!