皇帝陛下の花嫁公募
だが、彼はごく普通の町人のような格好をしている。最初見たときは威圧感があり、只者ではない気がしたが、笑っているところを見ると、普通の人にも見えてくる。体格がいいから、実は軍隊にいるのかもしれない。
「アロイス、あなたは何をしている人なの?」
「まあ、あれやこれや……かな。その日与えられた仕事をやっているだけだ」
それでは、兵士でもないのか。というより、定職すら持っていないような口ぶりで、リゼットはがっかりした。
いや、落胆するのは間違っている。確かに彼は素敵だが、彼と結婚したいわけでもないし、そもそもそんな関係でもないのだ。
ただ、わたしは裕福な人としか結婚できないから……。
それも、国のためを思うなら、とびっきりの裕福な人と。
仕方ないわ。それがわたしの王女としての使命なんだもの。
不自由さを感じるが、そもそも誰だって好きな相手と結婚できるとは限らない。多くの場合、親が決めた人と結婚しているのが現状ではないだろうか。
でも、お金のため、だなんて……。
貧しい生まれではなく王女なのに、どうしてここまでお金にこだわらなくてはならないのだろう。そう思うと、なんだか惨めな気分に襲われる。
わたしだって、恋のひとつだってしたい。
「アロイス、あなたは何をしている人なの?」
「まあ、あれやこれや……かな。その日与えられた仕事をやっているだけだ」
それでは、兵士でもないのか。というより、定職すら持っていないような口ぶりで、リゼットはがっかりした。
いや、落胆するのは間違っている。確かに彼は素敵だが、彼と結婚したいわけでもないし、そもそもそんな関係でもないのだ。
ただ、わたしは裕福な人としか結婚できないから……。
それも、国のためを思うなら、とびっきりの裕福な人と。
仕方ないわ。それがわたしの王女としての使命なんだもの。
不自由さを感じるが、そもそも誰だって好きな相手と結婚できるとは限らない。多くの場合、親が決めた人と結婚しているのが現状ではないだろうか。
でも、お金のため、だなんて……。
貧しい生まれではなく王女なのに、どうしてここまでお金にこだわらなくてはならないのだろう。そう思うと、なんだか惨めな気分に襲われる。
わたしだって、恋のひとつだってしたい。