皇帝陛下の花嫁公募
「とにかく、朝食をいただくわ。たっぷり食べなくちゃ、力が出ないから」

「はいはい。召し上がってくださいませ」

 ナディアは仕方なさそうに朝食をテーブルに置き、用意を始める。他の侍女が飲み物を持ってきて、グラスに注いだ。

 リゼットはナディアの給仕で朝食を摂った。これだけのおいしいものが食べられるのも、すべて国民のおかげだ。ありがたくいただいた。

 そして、華奢な手を守るために分厚い手袋をして、帽子をかぶり直した。

「じゃあ、行ってくるね!」

「行ってらっしゃいませ。くれぐれもお怪我には気をつけて」

「任せといてよ!」
< 6 / 266 >

この作品をシェア

pagetop