皇帝陛下の花嫁公募
 アンドレアスは初めて女性に夢中になっていた。

 今まで女性と何もなかったとは言わない。自分もいい年だ。何もないほうがおかしい。しかし、いつも本気ではなかった。というより、『本気にならなくてもいい』女性としか関係がなかったのだ。

 だが、今のアンドレアスは本気で彼女に恋をしていたし、心から自分のものにしたいと思っていた。

 そう。私だけのものにしたい。

 こんな独占欲を感じたのは初めてだった。

 皇帝だからではなく、私を好きになって、私だから花嫁になってもらいたい。そこまで思いつめてしまっている。

 身分も名誉も何もかも関係なく、この私の花嫁になることを承諾してほしい。

 いや、まだ彼女とは会ったばかりで、結婚したいと思うのは異常なことなのだろうか。だが、アンドレアスは彼女がアマーナリアの王女だからというわけではなく、美しい容姿をしているというだけでなく、彼女のすべてが愛おしいと思っていた。

 彼女にもそう思ってほしい……。

 アンドレアスは彼女の飾らない笑顔を思い返していた。
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