皇帝陛下の花嫁公募
 しばらくして、女性が何人かぞろぞろと入ってきた。それぞれ小さな子供を抱いている。どこの子供か判らないが、彼女達の子供なのだろうか。いい身なりではないけれど、小ざっぱりとした服装をした子供達だった。
 それを見て、また噂話が始まった。

「まあ、嫌だ。あの子達、孤児院の子じゃないかしら」

「陛下は孤児院をつくって、身寄りのない子供を世話させているって話よね」

「でも、どうしてこんなところに……?」

 リゼットは皇帝が孤児院をつくっていると聞いて、少し見直した。いや、どういう人物なのか会ってもいないから、見直すも何もないのだが。

 少なくとも、リゼットの中で評価が上がった。

 子供達は床に下ろされ、そこにおもちゃの入った箱があちこちに置かれる。子供達はよちよち歩きで箱に近づき、おもちゃを出して遊びだした。

 一人の女官が進み出て、説明を始めた。

「陛下はご自分のお子様を乳母に任せきりではなく、お妃様にもお世話していただきたいと望んでいらっしゃいます。今から五人ずつ出てきてもらい、この子達のお世話をしていただき、どのくらい子供の相手ができるか審査をしたいと思います」

 すぐさま、付き添いの女性の中の一人が甲高い声で質問をした。
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