それでも、わたしはこれを恋と名付けたい。
昔から、笑ってくれる人が好きだった。
周りの顔色を伺ってばかりで、
言いたいことも上手く言えないわたしは
その楽しそうな笑い声に何度も何度も救われた。
笑ってくれるだけで、安心できたし
そばにいたいって思えた、
ずっと笑っててほしいって思った。
例えそれが嘘だったとしても…
わたしにとっては、大切なことだったんだよ。
*
『……り、翠(みどり)?』
「あ……」
毎晩恒例の彼との通話中。
名前を呼ばれて、自分の意識が完全に別のところに行っていたことみたいだ。
また、思い出しちゃった…
「ごめんねまさくん!何て言ってたの?」
もう、思い出すのはやめにしたいのに
トラウマというものは大きく、なかなか消えてくれないものみたいだ。