それでも、わたしはこれを恋と名付けたい。





昔から、笑ってくれる人が好きだった。



周りの顔色を伺ってばかりで、

言いたいことも上手く言えないわたしは


その楽しそうな笑い声に何度も何度も救われた。



笑ってくれるだけで、安心できたし

そばにいたいって思えた、
ずっと笑っててほしいって思った。



例えそれが嘘だったとしても…

わたしにとっては、大切なことだったんだよ。






『……り、翠(みどり)?』


「あ……」



毎晩恒例の彼との通話中。


名前を呼ばれて、自分の意識が完全に別のところに行っていたことみたいだ。


また、思い出しちゃった…


「ごめんねまさくん!何て言ってたの?」



もう、思い出すのはやめにしたいのに


トラウマというものは大きく、なかなか消えてくれないものみたいだ。



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