それでも、わたしはこれを恋と名付けたい。
「悪い、待たせたよな」
「そんなに待ってないですよ」
「じゃあ、行くか」
私服姿の一ノ瀬さんを見るのは初めてじゃないけど、
背が高いから、黒のスキニーパンツがすごくよく似合ってる…
そう言えば、わたし…
まさくんの身長すら、知らないんだよね。
横に並んで歩いたことはないから…
だめ、今まさくんのこと考えたら泣いちゃいそう……
「吉川……?」
「あ……ごめんなさい!何駅まで乗るんでしたっけ?」
話を聞いていなかったみたいで、慌てて取り繕う。
無理に笑うのも、結構大変なんだなと思い知った。
*
電車に揺られること30分。
日曜日のお昼頃だと言うのに、電車はそんなに混んでなくて。