それでも、わたしはこれを恋と名付けたい。


「悪い、待たせたよな」

「そんなに待ってないですよ」

「じゃあ、行くか」


私服姿の一ノ瀬さんを見るのは初めてじゃないけど、

背が高いから、黒のスキニーパンツがすごくよく似合ってる…


そう言えば、わたし…

まさくんの身長すら、知らないんだよね。


横に並んで歩いたことはないから…

だめ、今まさくんのこと考えたら泣いちゃいそう……


「吉川……?」

「あ……ごめんなさい!何駅まで乗るんでしたっけ?」


話を聞いていなかったみたいで、慌てて取り繕う。

無理に笑うのも、結構大変なんだなと思い知った。




電車に揺られること30分。


日曜日のお昼頃だと言うのに、電車はそんなに混んでなくて。

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