それでも、わたしはこれを恋と名付けたい。


梅の花の花言葉、知ってるか?と急に問いかけられる。

ひまわりとかだったら聞いたことあるけど……


確か、あなただけを見つめる……だったかな。

考えても知らないものは分からなくて、首を横に振る。


『上品』『高潔』『忠実』『忍耐』

一ノ瀬さんがそんなことを知ってる人だとは知らなくて、ちょっとびっくりしてしまった。


「お詳しいんですね」

「ずっと、吉川は梅の花みたいだなって思ってた。

控えめで、心がキレイで、真面目で…

ずっと、色んなことに耐えてきたんだろ、ひとりで」

「ひとりで……」


ぽたっと、地面に雫が落ちる。


わたし、泣いてるんだ、と気付く前に

その涙が、そっと拭われた。

< 31 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop