それでも、わたしはこれを恋と名付けたい。


今日を迎えるのを、ずっとずっと待ち望んでいたのに。

その日が来ることはもうないと、知ってしまったから。



「……まさくん、ありがとう」

大好きだったよ。
その言葉が、声になることはなかった。


彼からもらったものは、全部


わたしの中に、思い出として残る。

幾ら泣いても
幾つになっても


誰かと別れる瞬間だけは、慣れない。



本当だったら、今日は


2月14日で…

わたしとあなたの1年記念日だったはずなのに、ね…


少し冷たい風が吹いて、びゅうっと落ち葉が軽く宙に舞う。


落ち葉が舞っても地面に落ちても、誰一人気にする人なんていない。


彼にとってわたしも、その程度の存在だったのかもしれない。



コートのポケットからスマホを取り出して、アルバムの画面を開く。



1アイテム を削除してもよろしいですか?


  いいえ    →はい


たった1回タップするただそれだけのこと。

< 33 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop