それでも、わたしはこれを恋と名付けたい。


でも……


「……どうした?」

「まだ、わたしには……彼とのアルバムを消すことは、できないみたいです…」

「……そう、だよな。困らせてごめん。
でも、すぐに思いを消せないのは、俺も同じだから」

真っ直ぐな瞳。
目を逸らすことが出来ない。


「折角梅を見に来たんだ、見たら気晴らしに美味いもんでも食いに行くか!振られたもん同士!」


弁当とチョコのお礼もしたいしな、と付け足して一ノ瀬さんは大げさに笑ってみせた。


それが強がりだとは分かってはいるけど……


今は、その笑い声がすごく有り難い。



「……はいっ!」


< 34 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop