MちゃんとS上司の恋模様
ドSなの?激甘なの?
ベッドに投げられたスマホの行方を目で追っていると、藍沢さんがベッドの端に立って私の顔を覗き込んできた。
そして、なぜかスーツのジャケットを脱ぎ始めている。
ジャケットだけならまだしも、ネクタイまで緩めだした。その意味不明な行動を見つつ、私は首を傾げる。
「ほぇ? どうしてネクタイまで取っちゃうんですか?」
酔っ払いの私にしては、至極まともな質問だったと思う。
先ほど飲んだワインのせいで酔っ払い状態の私ではあるが、今、裸になる必要性はないように思う。
ああ、そうか。衣服を身につけていると息苦しいから、ホックなどを外して緩めた方がいいと言っているのか。それならわかる。
だけど、酔っ払いではない藍沢さんはネクタイまで取る必要はないように思うのだけど……
もしかして、見た目にはわからないが、藍沢さんも結構酔っ払っているのかもしれない。
「ほら、真琴ちゃん。愛し合う二人は裸になって抱きしめ合わなきゃ。大事にするよ、真琴ちゃん」
再び首を傾げる私を見つつ、藍沢さんは脱いだジャケットと解いたネクタイを近くにあったソファーにかけた。
そして私がどうして理解できていない様子なのか、藍沢さんにはわからないようだ。
だが、すぐに藍沢さんは満面の笑みを返してきた。