MちゃんとS上司の恋模様




「……ああそうか。真琴ちゃんは処女だもんね? 初々しいもんな」
「?」

 処女で、初々しい……? 一体、天使さまは何を言い出したのだろうか。

 こうしてホテルの一室を急遽借りてくれて、酔っ払って足取りが危うい私のために休憩させてくれているだけのはずだ。
 裸だの、処女だの、関係ないはずである。

 藍沢さんはいつものように天使な対応をしてくれていると思っていたのだが、違うのだろうか。
 酔っ払いの頭では色々と処理できず、「ん?」と首を傾げてしまう。

 そうこうしているうちに天使の笑顔をした藍沢さんが、私に近づいて来た。
 彼が動く度にベッドが揺れる。その揺れは、今の私にとって勘弁してもらいたいものだった。

 先ほどまではワインのアルコールで酔っ払っていて、フワフワとして気持ちよく眠たくなってしまっていた。だが、ベッドに横たわった途端、なぜかフワフワとした感じは消えうせ、胃がムカムカとしてきた。

 そうこうしているうちに、藍沢さんは私を覆い被さるような体勢で顔を近づけてきたのだ。
 驚きと、気分の悪いさが押し寄せてくる。

 私の体調や気持ちなどお構いなしで、藍沢さんの手が私の頬に触れようとした瞬間だった。

 一気に胃から込み上げてくるものを感じて、色々とヤバイ感じになってきた。

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