MちゃんとS上司の恋模様




 酔いや眠さと戦っていると、須賀主任は恐る恐るといった感じで聞き返してきた。

『何もされなかったのか?』

 なんでそんなに心配そうなのだろうか。気持ち悪さが抜けた私は、酔っ払いらしく脳天気に答えた。

「何をですか〜? うふふ、気持ちいい」

 私の返事に、何故か須賀主任は大袈裟にため息をついた。主任の態度にむぅとしていると、彼は私に諭すように真剣な声色で言った。

『とにかくわかった。そこにいろよ』
「了解で〜す」

 陽気に返事をした私に、須賀主任はもう一度盛大なため息をつき、そのまま電話は切れた。

「なんだったのかなぁ〜須賀主任は」

 今から仕事をしろなんて言われたら、さすがに嫌だ。
 そこにいろ、なんて言っていたが、果たして本当に須賀主任はここに来るのだろうか。

 来て、そのまま会社に連れ込まれたりしたら……さすがに逃げてやる。
 この酔っ払いの足で逃げられるかどうか、わからないけど。

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