MちゃんとS上司の恋模様
「そのあと気持ち悪くなって、ずっとトイレで戻しちゃって」
「二回目にお前が電話に出たときまで?」
「そうです」
深く頷くと、須賀主任はハァーッと大きく息を吐き出してベッドに座りこんでしまった。
それも頭を抱えて安堵している様子を見て、なぜか罪悪感に襲われる。
もしかして、もしかしなくても須賀主任は私の身を案じてくれていたのだろうか。
胸がキューンと恋でもしたかと思うほど切なく鳴いてしまい、慌ててその思いを頭から叩き出す。
きっと私は疲れているのだ。それにまだ酔いも抜けていない。
だからこそ、とんでもないことを考えてしまうのだ。
まさかまさかで……須賀主任のことを思って胸が高鳴るなんてありえない。
彼に対して胸がドキドキする場合は、仕事でミスして怒られる、どうしよう! という心配からだけのはず。
挙動不審な私を不審な目で見ていた須賀主任だったが、急に真面目な表情に変わった。
「おい、麦倉。藍沢にはもう一切近づくんじゃない」
「えっと?」
「この状況になってもわからないのか? アイツはお前の身体が目当てだったってこと」
「バカな!」
それはあり得ない。ないない、絶対にあり得ない。