MちゃんとS上司の恋模様
ランチのときも、そして妹さんへのプレゼントを選んでほしいとお願いされたのも、全部私のヴァージンを奪うための策略だったなんて……
もしかしたら、今頃藍沢さんにパクリと食べられていたという可能性だってあったのだ。
青ざめながら目をうつろにさせると、須賀主任は淡々とした口調で言う。
「お前がアイツに食われなかったのは、すぐさまトイレに駆け込んで戻したからだ」
「……どういう意味ですか?」
「セックスなんて生々しい行為は好きなくせに、汚物はダメだったってことじゃないか? 潔癖症だっていう話も聞いたことあるし」
言葉を失う私に、須賀主任はしみじみとしながら言った。
「トイレに救われたな、麦倉」
「良かったような、悪かったような」
それってなんだかマヌケな展開なような気がする。そう呟くと、須賀主任は目をカッと見開いて、スゴイ勢いで怒り出した。
「バカ、よかったんだよ。のこのこ誰彼かまわず着いていくバカがいるか!!!」
「ごめんなさい」
素直に謝ると、須賀主任はまだ何か言おうとしている様子だったが口を閉ざし、ソッと視線を逸らした。
私があまりに脳天気すぎるので、呆れてしまったのだろうか。
シュンと肩を落としていると、須賀主任は優しい声色で労ってくれた。