MちゃんとS上司の恋模様
商業高校を卒業後、玩具メーカーである『きぼう玩具』に就職。
すぐに営業一課に所属された私は電話の応対、営業周りをしている社員に頼まれた書類作成、あとは来客との対応などなど……所謂営業事務職をしている。
ひぃふぅみぃ……数えてみたら働き出して早七年目か。
高卒ということで年齢こそまだまだではあるが、職務経歴的にはお局さん街道まっしぐらだ。
我が『きぼう玩具』は東京に本社を持ち、大型都市を中心にいくつか支社がある玩具メーカーである
工場は地方に数カ所あり、国内きっての玩具メーカーだ。
私はN支社に勤務しているのだが、ここ最近N支社での営業成績があまりよろしくないという噂だけは耳にしている。
きぼう玩具では大衆向けのおもちゃ以外にも、幼児教育玩具に力を入れている。
県内の幼稚園や保育園などに商品を卸しているのだが、ここ最近他社に顧客を取られ気味で苦戦を強いられていた。
そこで本社から命を受けた社員がやってくるらしい。所謂“立て直し要員”だ。
ガクッと目に見えて落ち込んでいる営業成績を今までの水準、いやもっと高みを目指すために本社から優秀な人材が送られてくるという。
今は7月初旬。こんな季節外れの人事異動は例外中の例外である。
N支社を早急に立て直しをしなければならない、と本社が判断した結果なのだろう。
だが、N支社営業部の面々からしたら本社から送られてくる人材は刺客でしかない。
それはもう戦々恐々もいいところだ。