MちゃんとS上司の恋模様
読めないドS上司に翻弄中
今までの平和な雰囲気とは一転、突然せわしくなった営業一課は今日も今日とて忙しい。
しかし、本社から送り込まれた鬼軍曹の采配で、営業部は一気に活気づいていた。
忙しさは今までの比ではなくなったはずなのに部内から不満の声があがらないのは、須賀主任のなせる技なのだろう。
口は悪いが部下のことをよく見ているし、さりげないフォローをかかさない。
その上、仕事は完璧にこなすものだから上からの評判も上々。
最初こそ自分の首を心配して須賀主任のことを煙に巻いていた部長でさえ、一目置いているように感じる。
兄貴風を吹かす須賀主任を崇高する人物が増える一方だ。
女子社員に至っては、「もう食べられちゃいたい〜」と須賀主任に身体まで捧げる気満々の様子。
そう、須賀主任はこの二週間の間にN支社営業部、いや他の部署の皆の心をがっちりと掴んでしまったのだ。
そんな中、一人だけ我関せずの女子社員がいる。それはもちろん私のことだ。
あんなドSに目を付けられたら堪らない。
須賀主任に目を付けられないよう、ただ静かに日陰に徹するつもりだった。
それなのに……須賀主任の補佐をやれと命令されて以降、なにかと彼は私にちょっかいを出してくるのだ。