MちゃんとS上司の恋模様
お兄ちゃんが典子ちゃんと出会う前までは、私はあのドSの標的となっていた。
お兄ちゃんから言わせると「愛情の裏返し」らしいのだが……あまり嬉しくはない。
確かに異常に妹である私を可愛がってくれていると思う。
シスコンなくせにドS攻撃をするとか、本当に意味がわからない。
そんな愛情、私はいらないと何度叫んだことか!
だが、お兄ちゃんが典子ちゃんと出会ったおかげで、私はその標的から外されることになった。
思わず祝杯をあげたくなったのは言うまでもない。
私はリビングをキョロキョロと見渡す。
愛妻の傍に兄の影あり、のはずなのに今日はまだお兄ちゃんを見かけていない。
これはチャンスだ、と典子ちゃんの隣に座った。
「典子ちゃん。教えてもらいたいことがあるんだけど」
「なんですか?」
黒目がちの目をきょとんとさせている典子ちゃんは、お世辞抜きで可愛らしい。
どんな手を使ったのか聞くのは大変怖いが、うちのお兄ちゃんは可愛げな子ウサギちゃんをうまく捕獲したものだ。
それも究極のドSのお兄ちゃんが、よくこんなに可愛くてか弱そうな子ウサギちゃんを手なずけたと感心してしまう。
そこで典子ちゃんにどうしても聞きたいことがあるのだ。